インフレ・物価・賃金

 21年10月~12月の輸入物価指数が前年同期比41.9%も上昇したとの報告があった。資源価格の上昇や円安によって輸入価格が上昇し、それによって物価が上昇する“典型的輸入インフレ”だという。

 輸入インフレの対応には、企業がコストアップを吸収して販売価格を上げない「デフレ的対応」と、コストアップを販売価格に転嫁する、物価は上がるが賃金は上がらない「分配率中立型」所謂“悪い物価上昇”である。もう一つが、輸入インフレで物価が上昇した時スライドして賃金も上昇する「インフレ誘導型」だという。留意しなければならないのは、このプロセスで新たな価値が生み出される訳ではなく、実質所得が増える訳ではないということだ。

 法人企業統計調査によると、18年度(コロナ禍前)企業の純利益は過去最大となり20年前比63兆円となり、株主配当は22兆円に増え、企業の現預金は90兆円に対し、人件費(働き手)は4兆円に留まっている。こうした状況の下「新しい資本主義」なるものが打ち出されたが『まずは成長』で分配戦略は後回しでは、この状況を打開できない。

<[資料](1/28ゲンダイ)平均賃金、(1/4日経)平均所得、(1/28)値上げ、(1/4日経)労働生産性、>