農政の転換点

 1961(S36)年に農業基本法が制定された。以来ひたすら「他産業並み所得」と「選択的拡大」を目ざしてきた。1999(H11)年に食料・農業・農村基本法が制定された、38年ぶりの改定だ。 「価格政策から所得政策へ」の大転換である。旧基本法は“業”が栄えれば“村”は栄えるとの神話に基づいていたが、戦後復興・高度成長の時代背景の中で、農村部から都市部へ人材が吸収され、旧法制定時6,176戸37,670人だった農家人口は新法制定時3,120戸13,458人となり戸数は半減、人口は1/3になってしまった。

 新法は文字通り“食料・農業・農村”を一体として政策を進め、それまでの価格支持による政策から「価格は市場へ、所得は政策で」という大転換だった。以後2006(H18)に「品目横断的経営安定対策」として制度化されWTOの政策と軌を一にするものだ。政権交代を経て2010(H22)年には「戸別所得補償政策」として進化したのだ。しかし安倍内閣による「規制改革」推進によって2017(H29)年に農業競争力強化支援法に代表される“農林魚業の規制改革”が推し進められた。新自由主義の発想に基づく文字通り競争の導入で格差の拡大、離農促進に逆戻りする政策である。

 日本の戦後復興は集中豪雨的輸出と表現され、国際分業・貿易交渉へと進んで行くのだが、GATT・WTOラウンドの行き詰まりからブロックによるメガFTAが繰り返されることとなる。しかしGATTは世界経済の” 囲い込み”(ブロック化)の反省によって設立されたことを忘れてはならない。今また同じ危機に直面していることを皆で肝に銘じなければならない時だ。

<[11]東日本大震災10周年追悼式、デジタルWT、国交部会、[13]土曜街宣、[14]大雪被害視察、[資料]第8期北海道開発計画、>