侮辱罪

 インターネット上での誹謗中傷が問題となり「侮辱罪」の厳罰化が今国会で議論されている。匿名による誹謗中傷は様々な犠牲者が出ており、ネット上の“いじめ”である。新しい技術がもたらす環境に法規制や規範が追い付いていない問題なのだ。

 2つの視点がある、一つは「言論封殺の危惧」である。改正案は「拘留または科料」となっている現行の侮辱罪に「1年以下の懲役・禁錮もしくは30万円以下の罰金」という内容で、法的に「懲役・禁錮」が加わったことで、逮捕要件が緩和されることとなり「権力に対する批判の自由が損なわれる」という視点である。侮辱罪が1875(M8)年に布告された讒謗(ざんぼう)律(自由民権運動の弾圧、国民の名誉より政府の官吏らを守る)に由来するが故に権力の弾圧や表現の自由に対する懸念だ。

 もう一つは、誹謗中傷を受けた側の視点だ。『誹謗中傷を数日受けただけで心は壊される。家族が理不尽に命を奪われた時、厳しい法律を望まない理由はあるでしょうか』(木村花さんの母)しかもこれらを拡散しているのが興味本位の大人たちだということも考えるべきだ。名誉棄損罪や事業者の開示義務なども併せて考える必要があるのではないか。ただし名誉棄損罪には「公益を図る目的があり、内容も事実なら罰しない」とある。つまり権力に対する攻撃と無辜の市民対するに攻撃とは全く別物として規定する必要がある。権力は常に批判・反論に晒されなくてはならない。

<[6/4]ライオンズGMA会議、[8]日甜会長来訪、[9]にしかわセミナー、[資料:侮辱罪]5/11東京、6/3朝日、6/8東京、>