食料自給率
食糧自給率について様々な主張が飛び交っている。政府が5年毎に計画する「食料・農業・農村基本計画」を意識してのこととも思われる。
見直し論の中心は現在の「カロリーベース」に対するものだ。『肉類(カロリーの高い)の消費が増えているのに輸入に頼っている飼料がカウントされない。』『麦・大豆への転作奨励金の費用対効果がない。』『分母が全熱量合計であり、分子が国内で賄われた熱量で計算するため、食品ロスがカウントされる。』中でも中傷としか思えない批判が『エネルギー自給が4%しかないのに、食料自給率を向上させても意味がない。』『減反政策が、コメ作りをおいしくて高級に偏重した。』等々だ。
これらの主張には決定的に欠落していることがある。食料自給率目標には、カロリー・穀物(従来)・重量・生産額など様々あるが、例えば「生産額」にすれば野菜や畜産品がカウントされるようになるので66%まで上昇する。■しかしこれでは物価の違う諸外国との比較で信憑性が薄くなる。■エネルギーとの比較は輸入に使われる「エネルギーマイレージ」や「ウォーターマイレージ」が国際問題になっているときに論外である。
■そして自給を考える時に必要なことは「主要食料(穀物)」の自給ということである。コメ・麦・大豆などは私たちの主食であり、代替が効かない食料は最低限の自給を確保する必要があるということだ。
農業に携わる時よく「安くて、おいしくて、安全」といわれるのだが、この三要素を全て満たすのは至難だ、安さを求めれば中国での加工食品やアメリカのGM(遺伝子組み換え)のように安全を損なうリスクを伴う。おいしさを求め過ぎると食品添加物多用の危険性が伴う。過度な原発依存も安全のリスクを考えれば再生可能エネにシフトすべきである。